CMrオピニオン「人やまちを元気にするために」

CMrオピニオン

人やまちを元気にするために

株式会社安井建築設計事務所 設計部
主査
平郡 元貴

株式会社安井建築設計事務所 設計部 主査 平郡 元貴近年、建築を取り巻く環境や用途、利用者のニーズは多様化・複雑化しています。そのような中、建物を完成させることだけでなく、その先にある発注者や地域、そこに関わる人々の想いや活動まで見据え、新たな価値を創出していく視点が、これまで以上に重要になっていると感じています。
私自身、設計者として様々なプロジェクトに携わる中で、その価値は建物の完成とともに生まれるものではなく、計画段階から少しずつ育まれていくものだと実感しました。

印象的だったのは、私が携わった公共施設のプロジェクトです。発注者をはじめとする関係者が一体となり、計画段階から地域住民への説明会を重ねるだけでなく、施設の理念や将来像を積極的に発信していました。その結果、施設は完成前から地域の期待を集め、単なる新しい公共施設ではなく、地域にとっての「新しい居場所」として受け止められていたことが印象に残っています。
この経験を通じて、建物の価値は完成して成立するものではなく、プロジェクトの進め方や地域との対話など、多くの取組が重なり合うことで形成されることを実感しました。そうした取組が一体となることで、建物が生み出す価値はさらに高まり、その価値はまちや社会へと広がっていくのだと思います。
建物の完成は一つの大きな目標ですが、それが終着点ではありません。発注者や地域の価値が育まれていく姿まで見据えながら、設計者としても、様々な立場の方々と協働し、建物が生み出す価値をさらに高め、人やまちを元気にする建築の実現に貢献していきたいと考えています。