巻頭言 vol80

巻頭言

会長就任に際して

日本CM協会
新会長
吉田 敏明

会長就任に際して今年6月の総会後の臨時理事会で新たに会長を拝命しました。日本CM協会には2001年4月の設立時より、まさにゼロから様々な活動に参画してきました。近年では資格試験グループの常務理事や、今年2月に刊行されたCMガイドブック(第4版)の編集委員長を担当させて頂きました。会社では、不動産デベロッパーの設計監理部門に入社し、その後に分社した組織設計事務所で継続して勤務し、一貫して「インハウスCM」の実務・営業および職能活動に携わっています。

昨今のCM(CM方式)は公共・民間や建築・土木を問わず急速に普及・発展しています。日本CM協会の様々な情報源からも、公共事業におけるCM方式の導入数、CM業務市場調査における担い手企業の物件数・売上高・受注額、会員数の増加、またCM選奨における業務内容の多様化など、いずれにおいてもその傾向は明らかです。私自身も日本CM協会での活動を通じて、CMガイドブックの初版から第4版までの多様化・高度化、CCMJ資格の受験者・登録者の堅調な増加などを実感しています。

ここで社会的・経済的な側面からCMを考察すると、近年に建設業界が遭遇した東日本大震災からの復興支援や新型コロナ禍でのプロジェクト推進などで様々な困難を余儀なくされた建設事業において、CMによる業務の必要性や役割の重要性が浸透し、発注者をはじめとす るプロジェクト関係者にも認知されました。また、直近の建設業界が直面している建設費高騰・工期延伸・担い手不足などの難局では、建設事業の不確実性や高難度化により発注者の不安・不満が増大しています。ここでもCMrの創意工夫と課題解決で建設事業のマネジメントを通じて課題に対処する必要があり、発注者を始めとするプロジェクト関係者からの期待とCMの必要性・重要性は、諸外国の先駆的なCMの歴史(社会的・経済的なの環境変化を受けて、多様な発注方式などを通じて進化・発展したCMの変遷)でも明らかです。

建設事業の停滞が日本の経済力の制約や成長力の下振れ要因などと報じられる現状において、日本CM協会の発足当初の目的を再確認して、「社会に信頼される健全なCMの全国への普及・発展」を基本方針に掲げました。更に、前会長も言及されていた「三方よし」の理念に基づき、発注者、CMr、プロジェクト構成員としての設計者・監理者・工事施工者、さらには建設事業のマネジメント教育の関係者(研究者・学生など)も対象に、関係者の方々がCMの価値を共有できる一般社団法人を目指して、前述の基本方針を実践したいと考えております。より一層のCMの普及・発展を目指して、会員の皆様には宜しくご支援とご協力をお願い申し上げます